30代の終わり。独身女子 タテ子の決心。
好きなことや楽なことに流されてきた結果、
30代の終わりが近いのに
・貯金ゼロ
・約100万円の負債
・独身・恋人なし
という、散々なオトナになってしまった、ツミ・タテ子。
5年近く付き合っていた大好きだった恋人と、
価値観の不一致からの別れ、
水分という水分をすべて涙で絞りだし、
身も心もカラカラになったタテ子の目の前には、
残酷な現実というものだけが残った。
独り身になって、また振り出しか…。いや、むしろマイナスだわ。
これから先は本気で、おひとりさまとして生きていく心を決めるべきだわ。
IT関係の中小企業で働くタテ子の年収は、頑張っても500~550万ほど。
このままずっと、忙しく働いていられる年齢でもないし、そもそも気力もなくなりかけてる。若い子と比べたら圧倒的に記憶力も頭の回転力も鈍ってきて、
経験力だけでなんとか乗り切っている。
この生活を続けられるのも、あと3年くらいが気力の限界かもしれない。
いや、5年がんばって、40代の前半までなんとか走り切れるか…。
もともと、人がたくさん集まる場所はあまり得意ではないのに、
仕事のストレスとお酒好きが度を越して、数々のバーや飲み屋に通うようになってしまった。
お酒が入れば、社交的になれるし、人に優しくなれる。
そう思いながら過ごしていると、月に10万円以上飲み代に消えていくこともあった。
そんな生活の中で出会った恋人は、
タテ子がきちんとした生活をしたいと考え始めた頃から、気持ちがすれ違いはじめた。
そうしてタテ子は、これからはひとりで生きていくんだと決心するに至る。
でももう、会社でずっと働いていたくない。
どうしてがむしゃらに働いて、ストレスためて、お酒を飲んで、浪費しているのだろう。
働かなくても暮らしていけるようになりたい。
好きな時間にスーパーに買い物に行って、ごはんを作って、食べて、公園とか散歩して、本を読んで、ごろごろして、映画かドラマみて、
何なら家庭菜園もして、ネギとかトマトとかバジル育てて、
銭湯とか行っちゃって、夜にちょっとだけ晩酌して・・
月に一回くらいお寿司か焼肉食べて…
そんな生活がしたい。
これはつまり、「セミリタイア」というものではないかしら。
夢のセミリタイア。
セミリタイアのために、今働いて、お金を貯めよう。運用しよう。
3年後…いや5年後には、会社をやめても生きていけるようになろう。
本当に独り身になったタテ子は、そう決心した。
30代の終わり。それが想像をはるかに超えるほど、つらいものだと知らずに。